トランスとは

停電になったときの困った話や笑い話、怖かった話などの1つや2つはだれでも持っているものですね。私達の生活における電気の存在は、水と同様に重要なものです。

そんな大切な電気が発電所でつくられていることは、皆さんご承知のとおりです。発電所でつくられた電気は送電線を伝わり、野を越え山を越えて皆さんの街までやってきます。そして、街中の電線を駆け巡り、皆さんの家庭の小さなコンセントの1つまでやってきているのです。 この1つの小さなコンセントから取り出せる電気は、日本では100Vです。これは日本国中どこでも同じ(一部の地域で安定した電圧が供給できていないところは除く)で、国内で使用するために作られた電気機器の大半は、この100Vで動くように設計されています(勿論、三相200Vなど単相100V電源とは異なる電源もありますが)。

これが海外では200Vだったり、400Vだったりと国や地域によって異なり、コンセントの形状も違います。海外旅行先へ持っていったドライヤーが使えなかったなどの失敗談をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

商用電源トランス

と、ここまでは皆さんよくご存じの話だと思います。さて、コンセントの100V電源を逆に辿っていくと発電所に戻るわけですが、では発電所でつくられる電気も100Vなのでしょうか?

発電所でつくられる電気は何万ボルトという高圧の電気です。それが、コンセントに来るまでの間にいくつかの中継点を経て、100Vにまで下げられるのですが、その中継点がトランスなのです。ご家庭やオフィスの窓の外に見える電柱。その上に四角や丸い箱が乗っているのを見たことはありませんか?それが柱上変圧器です。柱上変圧器は数千ボルトの高電圧を家庭用の100Vにおとしているトランスです。

また、コンセントにつながれた電気機器(電子レンジやテレビなど)は、その中に様々な機能が組み込まれており、それらの機能の中には100Vで動作するものもあれば、もっと違った電圧で動くものもあります。ここでもトランスが活躍しているのです。トランスは100Vの電圧を各々の機能が必要な電圧に変換しています。このように電気機器の入り口部分で電圧の変換を行っているトランスを一般に「電源トランス」といいます。

この電源トランスにはもう一つ重要な役割「絶縁」があります。オートトランスを除く一般的な電源トランスは、入力側の線と出力側の線がつながっていません。入力側の電気は電磁誘導によって出力側に伝わります。このように入力と出力が分離しているトランスを「絶縁トランス」といいます。このトランスの絶縁機能によって、入力側の電気が出力側に直接流れることを防ぎ、出力側につながれた回路、ひいてはその先にいる人間を保護しています。特に医療機器用トランスでは特性上、この「絶縁」が必要不可欠です。

電気機器などの背面やマニュアルなどに「電力○○W」などの記載をご覧になったことはありませんか?この「○○W」がこの電気機器が動作するにあたって消費する電力であり、電気機器内部のトランスの容量にあたります(勿論、トランスが使われていた場合の話です)。トランスの容量は電圧と電流を掛け合わせたもので、単位はWではなく「VA」を使います。トランスの寸法や重量はこの容量に依存するところが大きいのです(周波数が同じ場合)。

製品評価技術

高周波化、高電圧化が進むトランスやリアクトルでは、商用周波数(50/60Hz)の電源トランスには無い、高周波、 高電圧固有の現象により、発熱量の増加や信頼性の低下が起こるため対策が必要となります。

部品単位での性能評価が重視される高周波、高電圧製品。評価設備と評価技術により、お客様システムにマッチしたカスタム製品を実現します。