分電盤の電流監視や保護リレー、電力量計の裏側では、必ずといってよいほど「CT(変流器)」が働いています。大きな電流を安全に、正確に測るための縁の下の力持ちです。本記事では、各種トランスを手掛ける北川電機(KEC)が、CTの仕組みと使い方、そして必ず守るべき注意点を解説します。
CT(変流器)とは?
CT(Current Transformer:変流器)とは、大きな電流を、計器で扱える小さな電流に変換するトランスです。たとえば数百〜数千Aの電流をそのまま電流計に流すことはできません。そこでCTを使い、標準化された小電流(二次定格は5Aまたは1Aが一般的)に変換して測定します。トランスの一種ですが、電圧ではなく「電流」を変換・計測するのが特徴です。
CTの仕組み
CTは、主回路の電流が流れる導体を一次側とし、その周りに二次巻線を巻いた構造です。電流は巻数比に反比例して変換されます。
I2 = I1 × (N1 / N2)
一次側は導体1本(1ターン)や貫通バーであることが多く、二次側を多く巻くことで、大きな一次電流を小さな二次電流へと落とします。例えば「1000/5A」のCTは、一次1000Aのとき二次に5Aが流れます。
【重要】通電中に二次側を開放しない
CTを扱ううえで絶対に守るべき注意点があります。それは、一次側に電流が流れている状態で二次側を開放(オープン)してはいけないということです。
二次側を開放すると、二次電流による打ち消しが無くなり、鉄心が過度に磁化されて二次端子に危険な高電圧が発生します。これは絶縁破壊・機器損傷・感電につながります。CTの二次側は、使わないときも必ず短絡(ショート)しておくのが鉄則です。
CTの主な種類
種類 | 特徴 |
|---|---|
貫通型 | 主回路の導体を穴に通すだけ。省スペースで一般的 |
巻線型 | 一次側も巻線。小電流域や高精度向け |
クランプ型 | 回路を切らずに挟んで測定。点検・計測に便利 |
選定のポイント
- 変流比:一次定格/二次定格(例 1000/5A)。測りたい電流に合わせる。
- 精度階級:0.5級・1級など。計量用は高精度、保護用は広範囲の応答を重視。
- 負担(バーデン):二次側に接続できる負荷(VA)。配線やメータの消費に見合う必要がある。
北川電機のトランス技術
CTは「電流を正確に写し取る」ための精密な磁気部品です。北川電機は、各種トランスの設計・製造で培った磁気設計・巻線技術を活かし、用途に合わせた特注対応を行っています。
よくある質問
CTとトランス(変圧器)は何が違いますか?
どちらもトランスの仲間ですが、一般の変圧器が電圧の変換を目的とするのに対し、CT(変流器)は電流を計測・変換することを目的とします。二次側は電流計や保護リレーなど低負担の機器につなぎます。
なぜ二次側を開放してはいけないのですか?
通電中に二次を開放すると、二次電流による磁束の打ち消しが失われ、鉄心が過励磁になって二次端子に高電圧が発生します。絶縁破壊や感電の危険があるため、二次側は必ず短絡した状態で扱います。
二次定格が5Aと1Aのどちらを選べばよいですか?
配線距離が長い場合は、電圧降下(負担)の小さい1Aが有利なことがあります。短距離で既存メータが5A仕様なら5A、と設備条件に合わせて選定します。
樹脂封止・特注リアクトル/トランスのご相談
放熱・絶縁・耐環境の要求に合わせた封止設計。試作1台から量産まで対応します。
まとめ
- CT(変流器)は、大電流を扱いやすい小電流(5A/1A)に変換して測るためのトランス。
- 二次電流は巻数比に反比例。電流計・保護リレー・電力量計で使う。
- 通電中の二次開放は高電圧発生の危険。使わないときも二次は短絡しておく。




