トランスには「単巻トランス(オートトランス)」という種類があります。小型・高効率な一方で、使えない場面もあります。本記事では、各種トランスを設計・製造する北川電機(KEC)が、単巻トランスの仕組みと絶縁トランスとの違いを解説します。
単巻トランス(オートトランス)とは?
単巻トランスとは、一次側と二次側で1つの巻線の一部を共用しているトランスです。通常のトランスが一次・二次で別々の巻線を持つのに対し、単巻トランスは1つの巻線に「途中の取り出し口(タップ)」を設け、巻数比で電圧を変換します。オートトランスとも呼ばれます。
特徴(メリット)
巻線を共用するため、次の利点があります。
- 小型・軽量:巻線・鉄心が少なくて済む
- 高効率・低コスト:銅量が減り損失も小さい
- 電圧比が1に近いほど(少しだけ電圧を変える用途ほど)有利
最大の注意点:絶縁されない
単巻トランスは一次と二次が電気的につながっています。そのため、入力側と出力側を絶縁できません。これが安全面での決定的な制約です。
絶縁トランスとの違い
項目 | 単巻トランス | 絶縁トランス |
|---|---|---|
巻線 | 一部を共用 | 一次・二次が独立 |
電気的絶縁 | なし | あり(磁気結合のみ) |
大きさ・効率 | 小型・高効率 | やや大きい |
用途 | 電圧調整・昇降圧 | 感電防止・ノイズ対策・医療 |
感電防止やノイズ絶縁が必要な用途では、単巻トランスは使えず、絶縁トランスが必要です。
主な用途
- 電圧の昇圧・降圧:100V⇔115V、200V⇔220Vなど、少しだけ電圧を変える
- 電圧調整器・スライダック:連続的に電圧を可変
- モーターの始動器:始動時の電圧を下げる(スターデルタ以外の方式)
メーカー視点
北川電機は、用途に応じて単巻・絶縁いずれのトランスもカスタム設計・製造しています。安全要件・絶縁の要否を踏まえ、最適な方式を提案します。
よくある質問
単巻トランスはなぜ小型にできるのですか?
一次・二次で巻線を共用するため、必要な銅量・鉄心が少なくて済むからです。電圧比が1に近いほどこの利点が大きくなります。
単巻トランスで感電対策はできますか?
できません。一次・二次が電気的につながっており絶縁されないため、感電防止や地絡遮断の目的には絶縁トランスを使う必要があります。
スライダックは単巻トランスですか?
はい。スライダック(可変単巻変圧器)は、単巻トランスのタップを連続的に動かして電圧を可変にしたものです。
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まとめ
- 単巻トランスは一次・二次で巻線の一部を共用するトランス。小型・高効率。
- ただし絶縁されないのが最大の特徴で、感電防止用途には使えない。
- 電圧調整・昇降圧・始動器などに使われる。絶縁が要るなら絶縁トランス。




