EVの普及と再生可能エネルギーの拡大で、「電気を双方向にやり取りする」電力変換の重要性が高まっています。その中心にあるのがDABコンバータです。本記事では、DABの仕組みと構成、そして中核部品である高周波トランスの役割を、メーカーの視点で解説します。

DABコンバータ(デュアルアクティブブリッジ)とは

DABコンバータは、入力側と出力側の両方にフルブリッジ(Hブリッジ)を持ち、その間を高周波トランスで絶縁・結合した DC-DC コンバータです。名前の通り「両側(Dual)が能動的(Active)なブリッジ」で、電力を双方向に流せるのが最大の特徴です。従来の一方向コンバータと違い、充電も放電も1つの回路で担えます。

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DABコンバータの基本構成

DABは、直流電源①からフルブリッジ①で高周波交流に変換し、高周波トランスを介してフルブリッジ②へ伝送、再び直流②へ戻す、という流れです。電力の向きは、2つのブリッジの位相差で決まります。

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なぜ双方向に流せるのか|位相シフト制御の仕組み

DABの電力伝送量は、ポイントは「どちらのブリッジの位相が進んでいるか」で電力の向きが反転することです。

  • 位相差を大きくするほど伝送電力が増える(ある点まで)
  • 位相の進み/遅れを入れ替えると、電力の向き(①→②/②→①)が反転する
  • 伝送電力は高周波トランスの漏れインダクタンスとスイッチング周波数で決まる=トランス設計が性能を左右する

つまり、ソフトウェア(位相制御)だけで充電・放電を切り替えられるのがDABの強みです。

中核部品:高周波トランスの役割

DABの心臓部は高周波トランスです。単に電圧を変換するだけでなく、絶縁・電力伝送・エネルギー蓄積を同時に担います。

役割

内容

絶縁

入力側と出力側を電気的に分離(安全・電位差対応)

電力伝送

高周波で一次↔二次へ電力を受け渡す(小型・大容量化の鍵)

漏れインダクタンスの活用

DABでは漏れLが電力伝送素子として機能。狙った値に作り込む設計が重要

特に「漏れインダクタンスを設計値どおりに作り込む」ことがDABの性能・効率を決めます。北川電機は高周波トランスのカスタム設計・製造で、こうした要求に対応しています。

DABが選ばれる用途

  • EV用双方向充電器(V2G/V2H):クルマから家庭・系統へ給電
  • 蓄電システム(ESS):バッテリーの充放電を1回路で
  • ソリッドステートトランス(SST)/DCマイクログリッド:次世代の電力インフラ
  • 鉄道・航空・産業用の絶縁双方向電源

SiC・GaNで進む高周波化・小型化

SiC・GaNパワー半導体の採用で、DABのスイッチング周波数はさらに高まっています。周波数が上がるほどトランスやリアクトルは小型・軽量化できますが、同時に高周波損失・発熱・漏れL制御の設計難度が上がります。DABの高性能化は、高周波トランスの材料・巻線設計にかかっていると言えます。

よくある質問

DABと一般的なDC-DCコンバータの違いは?

一般的なDC-DCが一方向なのに対し、DABは両側にアクティブなフルブリッジを持ち、位相シフト制御で電力を双方向に流せます。絶縁型で、充電・放電を1回路で担える点が大きな違いです。

なぜ高周波トランスの「漏れインダクタンス」が重要なのですか?

DABでは漏れLが電力伝送を担う素子として機能します。漏れLとスイッチング周波数・位相差で伝送電力が決まるため、漏れLを設計値どおりに作り込むことが性能・効率に直結します。

DABはどんな製品に使われていますか?

EV用双方向充電器(V2G/V2H)、蓄電システム、ソリッドステートトランス、DCマイクログリッドなど、双方向・絶縁が求められる電力変換で採用が広がっています。

SiC採用でトランス設計は変わりますか?

はい。高周波化で小型化できる一方、高周波損失・発熱・漏れL制御がシビアになります。適切なコア材と巻線構造で、狙った特性と低損失を両立する設計が求められます。

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