工場やビルの受電設備でよく見かける「進相コンデンサ」。力率を改善する定番機器です。本記事では、電源用トランス・リアクトルを手掛ける北川電機(KEC)が、進相コンデンサの仕組みと選び方を解説します。
進相コンデンサとは?
進相コンデンサとは、遅れた位相の電流を「進める」ことで力率を改善するために、電路に並列に接続するコンデンサです。「進相(しんそう)」は位相を進めるという意味で、力率改善用コンデンサ(SC:Static Capacitor)とも呼ばれます。
なぜ力率が改善するのか
モーターやトランスなどの誘導性負荷は、電流の位相が電圧より遅れます。この遅れ(遅れ無効電力)が力率を下げます。コンデンサは逆に電流の位相を進める性質があるため、誘導性の遅れを打ち消し、無効電力を相殺して力率を1に近づけます。
力率改善のメリット
- 電気料金の低減:多くの契約で力率が高いほど基本料金が割引される。
- 設備容量に余裕:無効電流が減り、同じ設備でより多くの有効電力を使える。
- 電圧降下・損失の低減:線路電流が減り、発熱や電圧低下が改善。
直列リアクトルとの併用
進相コンデンサは、直列リアクトルと組み合わせて使うのが基本です。理由は次の通りです。
- コンデンサ投入時の突入電流を抑える
- 高調波がコンデンサに流れ込んで共振・過熱するのを防ぐ
高調波の多い環境では、6%リアクトルなどを直列に入れて保護します。
選定の注意点
- 容量(kvar):力率目標に合わせて選ぶ。大きすぎると進み過ぎ(過補償)になり逆に力率が悪化。
- 直列リアクトルの有無:高調波環境では必須。
- 開閉方式:負荷変動に応じて自動力率調整(APFR)で段階投入する。
よくある質問
進相コンデンサとリアクトルはどちらが力率改善に使えますか?
原因によります。誘導性負荷の位相遅れには進相コンデンサ、インバータ等の高調波による力率低下にはリアクトルやフィルタが有効です。実際は両方を併用することも多いです。
なぜ直列リアクトルが必要なのですか?
コンデンサ投入時の突入電流の抑制と、高調波電流の流入による共振・過熱の防止のためです。高調波環境では特に重要です。
進み過ぎ(過補償)とは何ですか?
コンデンサ容量が過大で、力率が進み側に振れてしまう状態です。かえって力率が悪化し電圧上昇を招くため、負荷に応じた適正容量・自動調整が必要です。
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まとめ
- 進相コンデンサは遅れ位相を進めて力率を改善する機器。
- 誘導性負荷の無効電力を相殺し、電気料金・設備容量・損失を改善する。
- 直列リアクトルとの併用が基本。過補償に注意。




