電車がブレーキをかけるとき、その運動エネルギーはどこへ行くのでしょうか。かつては熱として捨てられていましたが、現在は多くが「電力」として回収され、再利用されています。これが回生電力です。本記事では、電源装置・トランス・リアクトルを手掛ける北川電機(KEC)が、回生電力の仕組みと活用、そして見落とされがちな「課題と処理方法」を分かりやすく解説します。

回生電力とは?

回生電力とは、モーターが減速・制動する際に発電機として動作し、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収したものです。モーターは電気を回転力に変える装置ですが、外から回されると逆に発電します。加速時は電力を消費し、減速時は発電する――この「発電した電力」が回生電力です。

回生ブレーキとの関係

回生電力を積極的に活用するのが回生ブレーキです。モーターを発電機として働かせ、その発電抵抗で制動力を得ると同時に、生まれた電力を回収します。摩擦で熱に変える機械ブレーキと違い、エネルギーを捨てずに再利用できるのが最大の利点で、省エネと部品摩耗の低減に効きます。

どこで使われるか

回生電力は「頻繁に加減速する」「重い物を上下させる」用途で特に効果を発揮します。

分野

回生が生まれる場面

鉄道

駅間の減速・停止のたびに大きな回生電力

EV・ハイブリッド車

減速・降坂時にバッテリーへ回収

エレベータ

かご下降・軽負荷上昇時

クレーン・巻上機

荷の下降時

産業機械・工作機械

主軸やサーボの減速時

回生電力の課題と処理方法

回生電力は便利な反面、「回収した電力をどう処理するか」という課題があります。行き場のない回生電力は、インバータの直流部(DCリンク)の電圧を押し上げ、過電圧保護の作動や、そもそも回生できない回生失効を招きます。処理方法は大きく2つです。

  • 回生抵抗(制動抵抗)方式:余った回生電力を抵抗で熱に変えて捨てる。シンプルだが、エネルギーは無駄になり発熱対策が必要。
  • 電源回生方式:回生電力を交流に戻して電源系統へ返す。省エネ効果が高く大容量に向くが、系統へ戻すための電力変換が必要。

こうした回生を扱う回路では、電流を平滑・制御するリアクトルや、絶縁・変換のためのトランスが重要な役割を果たします。

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まとめ

  • 回生電力=モーターが減速時に発電して回収した電力。回生ブレーキで再利用する。
  • 鉄道・EV・エレベータ・クレーンなど加減速の多い用途で効果が大きい。
  • 課題は「回収電力の処理」。回生抵抗(熱で廃棄)か電源回生(系統へ返す)。

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