「絶縁トランス」という言葉は安全や医療の分野でよく登場しますが、普通のトランスと何が違うのか、なぜ安全なのかは意外と知られていません。本記事では、医療用絶縁トランスも手掛ける北川電機(KEC)が、絶縁トランスの仕組みと役割、普通のトランスとの違いを解説します。
絶縁トランスとは?
絶縁トランスとは、一次側(入力)と二次側(出力)を電気的に絶縁したトランスです。両者は導線で直接つながっておらず、鉄心を通じた磁気結合だけでエネルギーを伝えます。電圧比は1:1のことも、昇圧・降圧することもありますが、共通する目的は「一次と二次を電気的に切り離す」ことです。
なぜ絶縁すると安全なのか
一次と二次が電気的に切り離されていると、二次側は電源(商用電源の接地)と直接つながりません。これにより次のような効果が生まれます。
- 感電の防止:二次側に触れても、大地との間に電流が流れる閉回路ができにくく、感電のリスクが下がる。
- 地絡電流の遮断:一次側の地絡や漏電が二次側へそのまま伝わらない。
- アースループの解消:機器間の接地電位差による循環電流(グラウンドループ)を断ち、ノイズや誤動作を防ぐ。
普通のトランス(単巻トランス)との違い
項目 | 絶縁トランス | 単巻トランス(オートトランス) |
|---|---|---|
巻線 | 一次・二次が独立 | 一次・二次が一部を共用 |
電気的絶縁 | あり(磁気結合のみ) | なし(電気的につながる) |
安全性 | 高い(感電・地絡に強い) | 絶縁目的には使えない |
用途 | 医療・計測・ノイズ対策 | 電圧を少し変える省スペース用途 |
単巻トランスは巻線の一部を一次・二次で共用するため小型で効率的ですが、電気的に絶縁されていない点が絶縁トランスとの決定的な違いです。
静電シールドによるノイズ対策
絶縁トランスの一次巻線と二次巻線の間に静電シールド(電磁シールド)を設けると、巻線間の静電容量を通じて伝わるコモンモードノイズを大地へ逃がし、ノイズの少ないきれいな電源を二次側へ供給できます。ノイズに敏感な計測機器や医療機器で重宝されます。
主な用途
- 医療機器:患者保護のため、IEC 60601 に適合した医用絶縁トランスが使われる。漏れ電流を厳しく管理。
- 計測・分析機器:ノイズやグラウンドループを避け、正確な測定を行うため。
- 産業装置・電源設備:機器保護、ノイズ対策、安全確保のため。
北川電機の絶縁トランス
北川電機は、医療用絶縁トランスをはじめ、用途に応じた絶縁トランスを設計・製造しています。漏れ電流・絶縁耐力・静電シールドなど、安全とノイズ性能を作り込み、真空注型・含浸による封止で信頼性を確保します。
よくある質問
絶縁トランスは電圧を変えられますか?
変えられます。絶縁トランスは1:1で電圧を変えずに絶縁だけを目的とする場合もあれば、巻数比によって昇圧・降圧しつつ絶縁する場合もあります。目的に応じて設計します。
絶縁トランスとノイズカットトランスは同じですか?
近い関係です。ノイズカットトランスは、絶縁トランスに静電シールドを強化してノイズ遮断性能を高めたものです。基本の「絶縁」に加え、コモンモードノイズ対策を重視した設計になっています。
医療で絶縁トランスが必要なのはなぜですか?
患者に触れる機器では、わずかな漏れ電流も危険になり得ます。絶縁トランスで電源から絶縁し漏れ電流を抑えることで、感電リスクを下げ、IEC 60601などの安全規格に対応します。
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まとめ
- 絶縁トランスは、一次・二次を電気的に絶縁し磁気結合だけで電力を伝えるトランス。
- 感電防止・地絡遮断・アースループ解消で安全性を高め、静電シールドでノイズも抑える。
- 単巻トランスは絶縁されない点が決定的な違い。医療・計測・産業で広く使われる。




