部分放電試験の結果でよく出てくる「Q-max」「CSV」「CEV」。これらは絶縁品質を数値で表す重要な指標です。本記事では、高電圧トランスの自社評価を行う北川電機(KEC)が、これらの意味を解説します。

Q-maxとは?

Q-max(キューマックス)とは、部分放電試験で検出された「最大の見掛け放電電荷量」です。試験中に発生した部分放電のうち、最も大きな1回の放電の大きさを表し、単位はpC(ピコクーロン)です。Q-maxが小さいほど、絶縁内部の欠陥が少なく健全といえます。

見掛け放電電荷量(pC)とは

部分放電は絶縁物の内部で起こるため、実際の放電電荷を直接測ることはできません。そこで、外部端子で観測される電荷変化から換算した値=見掛け放電電荷量を用い、pC単位で評価します(IEC 60270)。要求仕様は「規定電圧で○pC以下」といった形で与えられます。

関連記事部分放電とは?発生の仕組みと絶縁劣化・対策をメーカーが解説

CSV(放電開始電圧)・CEV(放電消滅電圧)

Q-max(大きさ)とあわせて重要なのが、放電が起こる電圧の範囲です。

  • CSV(Corona Starting Voltage:放電開始電圧):電圧を上げていき、部分放電が始まる電圧。PDIV(部分放電開始電圧)とほぼ同義。
  • CEV(Corona Extinction Voltage:放電消滅電圧):電圧を下げていき、部分放電が消える電圧。PDEV(部分放電消滅電圧)とほぼ同義。

一般に、使用電圧に対してCSVが十分高いほど(=定格では放電しない)、安全余裕が大きく良好です。

3つの指標を合わせて評価

指標

表すもの

Q-max

放電の大きさ(pC)

CSV/CEV

放電が発生・消滅する電圧

PPS

放電の頻度(回/秒)

大きさ・電圧範囲・頻度を組み合わせて、絶縁の健全性を総合的に判断します。

メーカー視点

北川電機は、高電圧トランスを真空注型・含浸で部分放電を抑え込み、自社の評価設備でQ-maxやCSV/CEVを測定して品質を裏づけます。

よくある質問

Q-maxはどれくらいなら良いのですか?

要求仕様によります。「規定電圧で○pC以下」といった基準に対して十分小さいことが求められます。用途や規格ごとに許容値が定められています。

CSV/CEVとPDIV/PDEVは違うものですか?

ほぼ同義です。CSV/CEVはコロナ(放電)の開始/消滅電圧、PDIV/PDEVは部分放電の開始/消滅電圧を指し、実務上は同じ意味で使われます。

なぜCEVはCSVより低いことが多いのですか?

一度放電が始まると、やや低い電圧まで放電が継続してから消えるためです。CSVとCEVの差はヒステリシス的な挙動を表します。

樹脂封止・特注リアクトル/トランスのご相談
放熱・絶縁・耐環境の要求に合わせた封止設計。試作1台から量産まで対応します。

まとめ

  • Q-maxは部分放電試験で検出された最大の見掛け放電電荷量(pC)。小さいほど良好。
  • CSV(開始電圧)・CEV(消滅電圧)はPDIV/PDEVとほぼ同義で、放電が起こる電圧範囲を表す。
  • Q-max・CSV/CEV・PPSを合わせて絶縁の健全性を総合評価する。

高電圧・絶縁の部分放電評価は北川電機へ。→ 評価技術お問い合わせ