高電圧トランスやリアクトルの信頼性は、目に見えない「部分放電」を測って初めて裏づけられます。本記事では、高電圧トランスの設計・製造・自社評価まで手掛ける北川電機(KEC)が、部分放電試験の仕組みと評価項目を解説します。
部分放電試験とは?
部分放電試験とは、絶縁物に電圧を加えて、内部のボイド(空隙)や電界集中部で起こる微小な放電=部分放電(PD)の有無と大きさを測定し、絶縁の健全性を評価する試験です。部分放電は絶縁破壊の前段階であり、これを検出することで「カタログ値は満たしていても内部で放電が起きている」不良を見つけられます。
測定の仕組み(IEC 60270)
部分放電の1回のエネルギーはごく小さく(ピコクーロン=pCオーダー)、直接は見えません。国際規格IEC 60270に基づく測定では、次の構成で微小な放電パルスを検出します。
- 試験電圧源:無放電の高電圧を供給(電源自体がノイズ源にならないこと)
- 結合コンデンサ:放電パルスを取り出す
- 測定インピーダンス/検出器:パルスを電気信号として捉える
- 校正(キャリブレーション):既知の電荷を注入して測定系を校正し、pC単位で定量化する
主な評価項目
項目 | 意味 |
|---|---|
放電開始電圧(CSV/PDIV) | 電圧を上げていき、部分放電が始まる電圧 |
放電消滅電圧(CEV/PDEV) | 電圧を下げていき、部分放電が消える電圧 |
最大放電電荷量(Q-max) | 試験中に検出された最大の見掛け放電電荷量(pC) |
放電回数(PPS) | 1秒あたりの放電パルス数=放電の頻度 |
これらを要求仕様(例:規定電圧で○pC以下)と照らし、十分な余裕があるかを判定します。
なぜメーカーの自社評価が重要か
部分放電を抑えるには、真空注型・含浸でボイドを作らない製造と、電界を集中させない設計が不可欠です。北川電機は、高電圧トランスの設計・製造から自社の評価設備によるPD試験までを一貫して行い、設計の狙いどおりに部分放電が抑えられているかを自ら裏づけます。
よくある質問
部分放電試験と耐電圧試験の違いは?
耐電圧試験は規定電圧で絶縁破壊しないかを確認する試験、部分放電試験は破壊の手前で起きる微小放電の有無・大きさを測る試験です。部分放電試験の方が、内部欠陥をより早期に検出できます。
pC(ピコクーロン)とは何ですか?
放電1回で移動する電荷量の単位です。部分放電は非常に小さいためpC(10⁻¹²クーロン)で測ります。値が小さいほど放電が少なく良好です。
なぜ校正が必要ですか?
微小な放電量を正確なpC値で評価するため、既知の電荷を注入して測定系の感度を校正します。校正なしでは絶対値の比較ができません。
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まとめ
- 部分放電試験は、絶縁物内部の微小放電を測って絶縁品質を評価する試験。
- IEC 60270に基づき、結合コンデンサ+検出器+校正でpC単位で定量化する。
- 評価値は開始電圧(CSV/PDIV)・消滅電圧(CEV/PDEV)・最大電荷量(Q-max)・放電回数(PPS)など。




